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Unforgettable Brass Pounders 8
97/12/23

前回のサンスポットサイクル最盛期の頃、9X5HG,Hartmut、がルワンダからactiveであった。彼は当初DK2SC/9Xとして空に出ていた。このコールを朝早く7メガで聞いた時には、感動したものだった。当時国連絡みの9Xの運用はまだなく、9Xは珍しいカントリーであった。また、決して早くはないが確実で重めのウエイトのCWで母国の局とドイツ語でラグチューしていた。

その後、9X5HGという自分のイニシアルをサフィックスにしたコールを手に入れたようで、14,21のロングパスを中心に良く聞かれるようになった。Hartmutの運用は所謂DXのばりばり捌く運用ではなく、一局一局に名前とQTHを送り、その他の話題を丁寧に続ける形式であった。殆ど唯一の9Xの局であったので、束になって必死に彼を呼びにまわった局は、やきもきさせられたことだろう。21はCONDXが良いと、アフリカの南西部に対して午前10、11時頃からロングパスで開けて来る。丘の上にビームを上げ、リニアーを用いていた彼の信号は、ビーコンのように入感するのが常であった。パイルを一向に捌こうとしない彼に業を煮やしたヨーロッパの口の悪い連中から、この人種差別主義者!!等と揶揄されても、それに動ずることなく、「諸君は、少しは躾を受けた方が良いだろう」とやり返していた。

私が彼としばしば交信するようになった経緯は、よく覚えていないが、互いにラグチュー好きという点で、共鳴しあうものがあったのだと思う。彼は、ルワンダで放送中継所のメインテナンスを担当する技術者で、首都Kigali近郊で奥様と暮らしていた。日本の文化にも興味を持っていたようで、よくいろいろなことを質問された。私が医師であることを知ると集めて研究?しているというマラリア感染者の血液標本の事について言及したりもした。また、当時VEで生活していた美しい愛娘Gisaのことも良く報告してくれた。
GisaはDL6***というコールを持つハムで、現在Z2から運用している。
彼がたまたまDLに休暇で戻っている時に、例のルワンダのツチ族対フツ族の内乱が勃発、一段落してから自宅に戻ってみると跡形も無く荒らされていたとのことであった。その後まもなく、仕事・無線ともにQRTし、母国に戻った。

数ヶ月前彼から届いた手紙によると、現在は所謂アパマンハムの状態で無線はバーチカル1本で細々出ているだけとのことだ。年来の夢であった、ヨットでの世界一周を実現すべく、ヨットを入手したとのことであった。(この「夢」も9X時代に彼が良く語っていたものであったが、まさか実現するようになると思っていなかった。彼の実行力に脱帽・・・)近い将来、DK2SC/MMのコールが流れるようなCWで入感するようになることだろう。

鬼澤信
JA1NUT