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Unforgettable Brass Pounders 3
97/12/08

CW ラグチュワーは数多くいるが、VK3IM,Tim、程の有名人物は他にあまりいない。彼は、仕事場と自宅の片道1時間の道のりをパドル片手に運転し通すのだ。Wの連中とラグチューしながら走っているのが、7、10メガ、他のバンドでよく聞かれる。

彼の設備は、FT840に自作のモービルホイップ。おんぼろ(失礼!)のマツダのバンに、この設備をのせて走り回っている。VK1ARAによると、バンの後部にマットレスと冷蔵庫を載せており、どこででも野宿が可能ということだ。リグは数年前までFT101Bを使っていた。当時は、若干のQRHがあり、電源のレギュレーションが悪いためか、フラッター様の響きのCWであった。
その信号の特徴から、コールを聞かなくても彼である事が分かった。アンテナの正確なサイズは分からないが、大きなトップハットを持つtop loadingのホイップである。
ラジエーターエレメントは約1メーター位しかないが、トップハットのサイズは、直径70、80センチはある。トップハット直下にこれまた大きな直径の空芯コイルが入っている。

このホイップを、ルーフのラッゲージキャリアーに据え付け、直下にマッチング回路を入れている。このアンテナの性能は驚嘆すべきもので、下手な固定局のフルサイズワイヤーアンテナなどよりはよほど強く入感する。3.5ロングパスでヨーロッパと交信した、等という話を彼からよく聞いたものだ。

彼のCWは、衒いのない自然なキーイングで、取り易い。訂正符号のラタも、決して不愉快には響かない。彼のCWを耳にすると、たとえエレキーであっても、打ち手の個性・人柄がCWににじみ出得る事が分かる。

彼とは、1960年代VK3AZYというコールで出ていた頃からQSOしていたが、1980年代始め私が無線を再開しはじめた頃頻繁にQSOすることとなった。当時、私はとある大学病院の寮で14AVQを上げてQRVしていたのだが、そのラジアルの数・種類をいろいろと実験していた。彼とのQSO中にその話をすると彼は大いに興味を示し、ラジアルをリレーで切り替えて試してみたらどうか、と言ってきた。さすがにそこまではできなかったが、QSTのバックナンバーから短縮垂直アンテナの文献を郵送してくれたりしたものだった。彼は、素面の時にはそれを否定するのだが、仕事の帰りにどうも一杯引っかけてから自宅に向けて走る事もあるらしい。ある時、すぐ近くをパトカーが走っている、とびびっていたことがあった。捕まって呼気中のアルコール濃度を測らせられる時には、少しづつ吸ってはいてを繰り返すと引っかからずに済むかも知れないと余り確信の持てぬアドバイスをすると、とても喜んでいた。また、彼が両親を相次いで亡くした時には、さまざまなことに話がおよび気がついてみると、3時間も経っていた。

もうクリスマス休暇に入っている事だろう。大学で統計学を教える義務から開放され、今ごろはどこからオン エアーしていることだろうか。

鬼澤信
JA1NUT