JA1OQG 松田OMからいただいたアドバイス (2019.2


【反動式と按下式の違い】

反動式と按下式は同じではありません。短点はどちらも全く同じですが、長点の叩き方(運動・動作)が異なります。どちらが優れているかどうかが問題ではなく、練習段階で、初期、中期、後期(完成期)と順を追っていきますが、後期になると反動式も按下式も同じ様な動作になり、第三者が見ても区別がつかないくらいになります。反動式の利点は、一つの符号(短点又は長点)を打鍵後(終了後)に、次の符号を叩く動作の準備が一つの流れの中で行えることです。按下式では(極端な表現ですが)一つ一つの符号(短点又は長点)を打鍵(終了後)新たに基本位置(定位置)に戻ってやり直しをしなければならず、符号割れが生じやすくなり、受信側にとっては嫌な符号に聴こえます。これを無くすために、中期から後期に移行するときに、それようの練習をしなければなりません。反動式の難しさは、間違った指導、間違った練習をすると、とんでもないクセがついて、後期段階での高速符号を叩くと手崩れを起こしやすくなります。独習で、確実に正確な符号をゆっくり叩くなら、按下式の方が無難でしょうか。

結論としては、受信側に解りやすい・聴きやすい正確な符号が叩ければ、どちらでも良いと思います。

 

【練習後期(完成期)とは】

例えば自己評価として一つの目安は、一応自由自在に和文練習帳(電報形式の原書)を3級通信士(現在の3総通?)のレベル(和分70字/分3分間送信、欧文普通語100字/分、暗語80字/分をそれぞれ3分間送信)を可能な限り訂正符号を出すことなく国家試験に合格可能位のレベルに送信可能な程度が一応の後期段階(完成段階)と言っても良いのではないかと思います。そのあとは更なる上達を目指す事と現状のレベルを落とすこと無く日々の練習が必要です。それぞれのレベル向上目標は、2級通信士(2総通)の和文75字/分を5分間、欧文普通語100字/分を5分間、欧文暗語80字/分を5分間訂正符号無し程度に無理なく送信可能なら、それこそ、後期(完成期)と言えると思います。

 

現在の国家試験のレベルがどのようになっているのか…、(改正?改悪?時代の流れ…)大幅に変ったので不明ですが、昔の実技のレベルで表現してみました。現在の1通(1総通)は和文85字/分を5分間、欧文普通語100字/分を5分間、暗語80字/分を5分間程度に格下げになったと思います。でも、以前の私達も実際の通信(電報の送受信)は和文85字/分で送信されたら短波帯でQSB/QRM/QRNを受けながら受信するので、そんな状況がお互いに解っているはずなのと、誤受信をされたくないので(確実に受信して欲しいので)通常送信は和文では60字/分〜70字/分位で送受信していました。(欧文の速度も和文の速さに準じてました)有線系でオシレーターでの送受信でタイプ受信なら遅れ受信が十分可能でしたが、手書き受信では当時の国家試験レベルが精いっぱいだったと思います。HST世界大会の時は、私は機械タイプライターを日本から持参しましたが、欧文(5文字で1語 スペース 5文字で1語の繰り返し送信の受信)230PARIS位まで指が動きました。数字(文字と同じような組み合わせの送信を受信)250PARISまでは数字の符号として聴きとれましたが、タイプ受信でも追いつきませんでした。(誤字・脱字は5文字まではOKですが、それを超えるとその速度の受信評価はゼロ=ノーカウントになります。)300PARISを超えるとトンツーの符号としては聴きとれず、テレタイプの符号の様に聴こえました。例えば数字の4(よん)は・・・・−とは聴こえずにV(ブイ)の出来損ないの早い符号に聴こえます。数字の0(ゼロ)は「符号の長いのがビビビー」と聴こえる感じ。数字の5(ゴ)は「符号の短いのが短くビビッ」と聴こえる感じでした。


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