William G.Pierpont N0HFF
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改訂2版-第29章
コッホの研究
ドイツの
Die technische Hochschule, Braunschweigの心理学者ルドウィグ・コッホは明瞭で広範囲な研究を行ない、1936年1~2月のレポートしていますが ( 文献参照)、ドイツ国外ではあまり知られていないようです。かれの研究目的は、将来の無線電信オペレータに国際的に通用するプロオペレータになるために最も効率的な方法を発見することでした。要求事項は次のようなものでした。コッホの研究は次のような内容を含みました:有能なオペレータが何をしているのかを見極める、現在使用されている教習方法を検証する、そしてより良い方法を工夫し、それを実際の授業でテストしてみる。彼の結論と薦めはどうやってモールスコードを教育するのがベストかを実際的に研究した最初のものです。それらは今日の最良の方法と全て一致しており、さらに貴重なアイデアを私達に提案しています。それらをここにまとめます。
有能なオペレータが何をしているかを検証するテスト
彼はコードがどのように解読されるか
送信テスト
約
10 wpm 以下で標準タイミングに近かったのは唯一コードを視覚的に覚えたオペレータでした。他の3人は標準タイミングからかなり外れていました。5 wpmでもこの違いは容易に評価できます。しかしながら、文字を構成する長短点間隔は完璧に短点1個分と等しくなっていました。
スピードが速くなるに伴って状況は徐々に変わってきます、10wpm程度までは個人的な差こそあれそこそこ正確だったものが、12wpm程度から皆、国際標準に極めて良く沿った符号になります。(良く言われる手送りによる個人的特徴は残ります。10wpm以上ではそれによる符号のひずみは常に低い)
音で符号を覚えた3人のオペレーターは大変遅いスピードでは符号を音声パターン
(Gestalt)として捕らえられないことが明らかになりました。一体性がなく、単なる符号要素の断片の連続と感じられるのです。10wpm程度になってようやく音声パターンとして認識できるレベルになり、要素の断片は遮断されるようになります。受信テスト
約5wpmでは経験のあるオペレータは単一文字を正確に認識するのにてこずります。7wpmになると40%から60%の文字は正しく認識できるようになります。10wpmになると全員が約95%正解できるようになります。12wpmまでに全員が全ての文字を正しく認識できるようになりました。
テスト2: 文字間のスペースを2倍にします。そうすると、テスト1の各スピードで全員が全て正確に文字を認識しました。これは興味深い結果です。
このテストから経験のあるオペレータは符号文字をその音声パターン(Gestalt) で認識していることが裏付けられました、そしてこの音声パターンは最低約50文字毎分の速さで成立するパターンです。それより遅いとパターンが崩れて聞こえてしまうのです。コッホは、非常に遅いスピードの場合文字間隔を2倍にすることで崩れた音声パターンを頭の中で修復し認識することができるのだと結論付けました。(初心者はこれをする能力はないでしょう。)
印刷された符号表でモールスを覚えたオペレータは遅い速度においては大変正確です、なぜなら彼の視覚的符号映像が非常に強いからです。しかしながら、この方法で覚えた彼の最大速度には限界があります。彼は最低限の要求にしか耐えられない、ぎりぎりのオペレータです。(下記参照)
以前の教育法の分析と批評
このシステムの間違いは:
簡単に言えば、生徒は横道にそらされその後ずっと不利な立場になります。不必要に音声の仔細から構成をしようと試み変換し、全体を意味あるものとしてくっつけて視覚的に変換して最後に文字になります。
「音声パターン」法は、先ずモールスによる文字を生徒に単一の音声パターンとして聞こえるだけ十分に早い速度で、但し文字間隔は十分広くして、生徒に聞かせます。しかしながら、生徒は通常すでに符号を視覚的にマスターしているかそうするよう教わっている。
残念ながら、脳裏に焼き付けられる映像は大変強く、音声パターンよりも容易に思い出せるものです。そのため、生徒は聞いた信号のパターンを対応する視覚的表現に変換してしまい。符号を構成するパーツに分解してしまい、最後に文字に変換するという傾向があります。この複雑な行動は少なくとも音声パターンの一貫性を破壊してしまう傾向があります。
この一連の行動は長すぎる文字間隔によって、考えたり、隔憶測および面倒な翻訳プロセスを介入したりする余裕を与えてしまうことを示しています。速度が速くなるにつれて文字間隔のスペースが短すぎてこれらの行動ができなくなり、10wpm程度で受信できなくなります。これが分析的方法の場合です。
したがって音声パターン法も分析的方法と同じ問題を抱えています。どちらも符号の部分的認識から一貫性による認識が必要となる10wpmあたりで高原状態になります。
これらの方法を分析すると、2種類の間違いがわかります:
直す方法は明らかに視覚的参照を消去し、音声を直接文字に対応させること、ごく初期の段階から十分に速度の速い符号を使用し音声パターンの一貫性を保ち、不自然な文字間隔を使わないことです。
より良い指導方法を構築する実験
初期学習のための文字速度は
?様々なテストで約12wpmが多くの人達が学習を開始するのが最適であることを示しています。これは例の避けるべき10wpmの高原より十分高いものです。さらなるテストで、学生が一旦全ての符号を12wpmでマスターしたなら、能力を70字毎分に高めるのは簡単で、そして練習を続ければ要求される速度まで段階的に素早く到達することが出来ます。このように、12wpmという初期速度は適正であるといえます。
リズムパターンは強調できるか?
コッホは、学習の初期段階において初心者は文字のリズムパターンに特に集中すべきであると考察しています。これを容易にする方法はあるのでしょうか?
かれは、一部の教師が符号を「トン」と「ツー」の音節を使って話し、あるいは歌うこと、でその母音の品質と長さで音声パターンを正確にメロディーのように表現していることに気がつきました。この試みは、音声パターン間の相違を強調し、音声パターンの瞬時認識を促進します。
短点と長点で異なったピッチを使うことは初心者が符号のリズムパターン(メロディー)全体を認識するのを容易にし、学習を容易にするのではないでしょうか?
リズムを導入しそれに慣れるまでの初期段階における集中によるストレスを軽減する一助になるのではないでしょうか? 試してみる価値はあるでしょう。彼は2トーンによるメリットを評価するため2つのクラスを同時に実行してみました。最初のレッスンが終わって、2トーングループが1トーングループより平均して2段階先に進んでいることがわかりました。(2トーンクラスではピッチの差は徐々に少なくして行きました)結果:1トーンクラスが28レッスンで終えることを2トーンクラスでは24レッスンで終わりました。合計授業時間は1トーンの14時間にたいし2トーンは12時間でした。(両方のグループで通常の、一時的な短期間のプラトー(高原)がありましたが、それは1レッスン以上続きませんでした)
結論:これは初心者教育の一助となる効果的手法といえます。どの文字を最初に教えるべきか?
2)問題になりがちな文字
コッホは(ドイツ人の生徒の場合)一般的に
いつ新しい文字を紹介するか
練習は文字グループでやるべきか?
彼は長点のみで構成される文字
t m o ch (chはドイツ語では1文字)で実験してみました。十分な練習の後(2回のセッション)、短点のグループ e i s h で同様に練習させました。次にこの2グループを合体しました、すると生徒は2つ目の文字グループの集中練習の間に最初のグループをほとんど忘れていたのです、さらに生徒の自身もなくなっていました。彼は8つの文字を一緒にさいしょからもう一度教えなければなりませんでした。この後、上記の8文字は正確に一貫して識別できるように練習させてから、また新たな2つの文字グループを同様の方法で学習させました。その最初が、
d b g のグループその後が u v w のグループです。それから、この2つのグループを合体すると、 d b g のグループを忘れてしまっていました。さらに悪いことに、この2つのグループ(d b g u v w)を一緒にして再学習した後、一番最初の8文字と合体したら最初の8文字を忘れていたのです!このことは、集中的に新しい文字グループを詰め込むとそれが既に「覚えた」記憶に上書きあるいは取り替えられてしまうことを示しています。彼は文字グループによる学習は間違った方法であると結論付けました。
従って、最も効果的な方法は、1回に1つの新しい文字を覚えてすぐにそれを既に記憶した文字グループに含め、それを全てのアルファベットが揃うまで続けることです。この方法によって、既に学習した文字を常に復習し、時間を置くことなく頻繁に繰り返すことができます。問題の多い文字
練習はどれ位の長さで、どのような時間配分をすべきか?
レッスンの理想的長さはどれくらいでしょうか。コッホは午前中の長いレッスンに続いて午後も長い練習を続ける実験をしました。これは非常に強い集中が求められ、生徒はすぐに疲れてしまい繰り返しの練習はその効果を発揮しません。
試行錯誤の結果、30分の練習時間が一番効果的でありました。(たとえ45分であっても効果が減少する) 彼は最終的に、1日に午前30分、午後30分の練習が最適であると結論しました。この進め方は良いもので、無理なものでもありませんでした。最初の30分で5つのうち3つ文字が出題され覚えられました。各レッスンでは多くの繰り返しをさせ、たとえアルファベット全てを出題したあとでも最低10回各文字を繰り返しレッスンさせました。各連続するレッスンはその時点までに覚えたばかりの文字を復習することでもありました。
教えるための新たな哲学
効果的教育プログラムを設計する
1)最初の練習は生徒に異なる全体の音とスペースのリズムを聞く事になれることを教えることです:
a) 文字のリズム:文字‐スペース‐文字‐スペース
b) グループのリズム:レターグループ‐スペースレターグループ‐スペース
最初から全体のリズムに慣れるため下記のようなグラフ用紙のようなコピー用シートを用意しました。これはその後の通常のコピー練習にも使えます。
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そして、5文字のランダムグループが送信されます。最初これらは全て知らない文字です。5文字グループで音声パターンを聞くうちに生徒はグループの中の短点の位置に短点をプロットします。
このように5つのスペースがくるまでこれを続けると、各文字のリズムパターンを聞いて短点を対応する適切な位置に書くようになります。(この段階で生徒はただ音声のパターンのみを認識しているのであってそれ以上何もありません)彼は引き続き新しい文字グループについても何行も同じようにします。このようにして生徒は集中する練習を始めます。
a) 一貫した音声構造に対して、
b) 一つになったリズム、文字に対して、
c) 各グループの後のポーズを認識することに対して。
この相対的に短い(10分程度)最初のセッションは、全体的で詳細な音声のパターンに慣れるための手始めとなります。
2)第2の練習は次のことをはじめることです
a) 2つの大変異なる音声パターンの文字同士のリズムパターンの違いを認識すること、と
b) 各文字の音声パターンになれることです。(全ての送信は機械的に正確であること)
A)これは最初に2つの文字をその文字がなにかを示さずにその音声パターンのみを紹介することから始めます。それらは別々にそしてランダムに、生徒が明らかに個々の文字を認識し、識別するまで送信されます。(パターン1、パターン2、その他何でも)この時点ではそれらの文字が何かは示されません。それらは単に異なった音声パターンとして認識されます。
B)最初の2つの文字がそれぞれのリズムのグループとしてお互いに区別できるようになって、小さな枠に短点をかけるようになって初めて、その2つの文字がなにかを知らされます。それ以降彼は何時その符号を聞いても小さな枠に正確に対応する文字を記入できるようになります。
これは生徒を初期段階とその後において、各々のそして全ての音声パターンを、それを識別あるいは点を枠内に入れることで認識させ、より長い文字グループをより長いスペースがあれば識別できるように訓練するものです。
明らかに、特に学習段階においては、瞬時に自動的に認識できずに通りすぎてしまう音声パターンがあります。それらの信号に気を取られないようにする習慣をつけなければなりません(ただし、飛ばしてしまったところに点を付けることを除いて)。そうすることで次ぎに来る音声パターンに集中できます。
そうしなければ、瞬時に認識できない各信号とその次に来る信号の僅かなスペースの間にさっきの文字は何だったか考えてしまいます。しかし、考えているうちに次ぎの信号が来てしまい、焦り、リズムの流れを失ってしまいます。このような中断は初期段階でなくす必要があります。指導者は生徒に対し、瞬時に認識できなかった音声パターンは記入枠に点を書くだけで、すぐに次ぎの音を聞きに行かなければならないことを強調しなければなりません。この行動は習慣になるべきで、このテクニックは初期段階から上達するために重要です。
さて、生徒は音声パターンを識別したら小さな枠に対応する文字を書いて行きます。もし、生徒がまだ教わっていない文字を故意に5文字グループに混ぜたら、それら未知の文字に対応する部分に点を書きこみます。
このような練習を1、2回、短時間(約10分)行なった後、音声的印象と彼らが表現する文字との相関は、音声から文字(あるいは点)への瞬時変換に非常に近いものになってきます。これは、3個目の文字が出されて初めて現れます。
3)既に覚えた文字郡に新たに追加するのは1文字のみです。文字を新規追加する基準:既に学習した文字の少なくとも90%が正確に識別できること。最初の2文字の時と同様に、各新規文字は認識できる音声パターンのグループに追加されます:最初はその文字が何か知らないままパターンとして単純に認識する、一方既に知っている文字があるときはその文字が何であるか音声パターンから識別できる。
5文字グループを使っている場合の文字の導入の例として、もし教わる文字の順番が h - f - a - g - 等の場合:最初の2文字レッスンは次ぎのようになります:
l) hfhhf fhfhfh ....
2) 次ぎの文字: aahfh fahfh ...
3) 次ぎ: ggbaf ghfah ...
4) 次ぎ: ccgaf gcafh ..., 等。(この例の場合、「問題になりやすい」文字は後回しにしています)